シニア犬の為の歯磨き方法(歯垢除去)

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シニア期を迎えると徐々に体の不調が目立つようになります。

当然食欲、食生活にも変化が表れ、若く健康な頃のようにかたいドライフードを食べることが難しくなる場合もあります。

このような場合、柔らかい食べ物、食べやすい食べものに切りかえることは当然ですが、合わせて歯のお手入れが必要になることも知っておいてあげましょう。

柔らかい、食べやすい、おいしい反面でリスクもある

シニア期の食事といえばシニア用低カロリードッグフードが定番です。

ドライフードをシニア用に切り替える方も多いでしょう。
しかし現代の犬の平均寿命は10年を軽く超えています。

同じシニアと呼ばれる世代では幅があり、中にはかたいドライフードを食べることが難しい場合もあります。

そのような場合

・缶詰
・レトルトフード
・半生フード

などを主食として用いたり、ドライフードのトッピング、風味づけに用いることも増えるでしょう。

しかしこれらのフードは柔らかく、食べやすい、嗜好性が高いという魅力があるものの、反面で多量に配合されている添加物があることも事実です。

肉や野菜、穀物を柔らかい状態のままで維持すること、長期間の保存を可能にすること、食べやすいゼリー状に固めることなどを実現するためにはさまざまな添加物を避けては通れません。

中でも「増粘剤」と呼ばれる成分の配合は歯の健康を考えるうえで大きなリスクといえます。
増粘剤とはそれぞれの素材をゼリー状に固めるつなぎの役割をする成分です。

この成分はその名の通り非常に高い粘り気をもっています。そのためこの成分を摂取すると歯の表面に付着し、唾液では流しきることができず、残留してしまいます。

その結果、歯の表面で接着剤の役割を果たし、さまざまな食べ物のカスを吸着させてゆきます。

この悪循環が続くことで、次第に歯の表面には付着した不要物が蓄積し歯垢や歯石と変化してゆきます。

シニア期を迎えた犬はさまざまな身体機能が低下します。当然、唾液の分泌機能も低下してしまうので、歯の洗浄効果を十分に発揮することができず、歯垢や歯石といった口内トラブルも早期に進行してゆきます。シニア期を迎え食生活に変化、改善を行った際はその後に新たな歯のお手入れ、口内ケアが必要になることも十分気にかけてあげましょう。

シニアならではの口内事情を理解する

シニア犬の口内ケア、歯磨きを行う中で特に小型犬の場合、すでに蓄積された歯垢や歯石が原因で

・歯茎ハレや痛み
・歯のぐらつき

が起きている場合もあります。中には雑菌の侵食が原因で顎の骨や歯根がもろくなっている場合もあります。安易に市販の歯ブラシを用いて歯磨きを行うことでこれらの患部を刺激し、症状を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。

シニアの場合は

・シロップ式(歯茎の数滴たらすだけの歯磨き法)
・飲み水に混ぜ込み式(飲み水に専用シロップを混ぜることで、歯垢や歯石の溶解を目指す方法)

など歯や歯茎に負担がかからない方法での歯磨き法も積極的に取り入れてあげましょう。

すでに歯茎に出血や赤み、変色が見られる場合は動物病院に相談をして適切なお手入れ法の指導を受けることも必要です。

無理強いをしない、優しく丁寧が基本

犬にとって歯磨きは決して快適な方法ではありません。

特にシニアになるまで歯磨きの習慣がなかった場合、新しい習慣を受け入れることに抵抗を感じ、拒否することも当然なことです。

ただ歯磨きは毎日続けることで初めて効果を期待できるお手入れです。

愛犬が嫌がる、拒絶する、怖がるようでは毎日続けることさえ難しいでしょう。
歯磨きは決して無理強いをせずに、最初はわずかな時間からでも受け入れてもらえるようとりくみます。

愛犬が嫌がる場合は中断をしてあげることも必要なことです。また犬は本能的に異物が顔の正面から近づくことに警戒心を感じるものです。

初めての歯磨きや歯磨きを嫌がる場合は

・愛犬の横や背後に飼い主が立つ

・歯茎と平行する方向から歯磨きを近づける

・軽く上唇をめくりあげ、歯ブラシを口内に入れる

・力を入れずに歯の根元付近から先端にかけて掻きだす様に磨く

このような手順に挑戦してみましょう。

歯を磨くことはとても大切なことですが、犬にはなかなかこの重要性が理解できません。

まずは嫌がらない、怖がらない事を目指して歯磨き習慣の習得を目指しましょう。

美味しい歯磨き粉もぜひ活用を

ペット用歯磨き粉の中には犬が好むフレーバーが付いた製品があります。

もちろん砂糖や犬に有害な成分ではありません。愛犬のお気に入りのフレーバーを見つけることで、歯磨きがオヤツやご褒美タイムへと早変わりします。歯ブラシを怖がる、歯磨きを嫌がる場合はまずは歯磨き粉の味を覚えさえ、歯磨きが楽しい時間になるよう工夫をしてあげましょう。

シニアは若いころに比べ頑固で、怖がりになりがちなものです。

焦らず、気長に新しい習慣の受け入れに付き合ってあげましょう。

投稿者プロフィール

YUKIYO OHTANI
YUKIYO OHTANI
ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。

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