安全に終えることが出来る歯石除去の方法

この記事をシェアする

重度の歯垢や歯石に悩んでいる場合、動物病院では全身麻酔をかけ、スケラーと呼ばれる専用の器具で処置を行う方法があります。

この方法は確実に歯垢や歯石を除去出来るというメリットはあるものの、全身麻酔という危険性を伴っています。

高齢の場合や麻酔の利用に適していないと判断された場合は、無麻酔による処置という選択肢があることをぜひ知っておいてあげましょう。

無麻酔で行う歯垢除去法とは?

麻酔を使用せずに専用の器具を使用し歯垢や歯石を取り除く処置は主にトリミングショップや一部の動物病院で行われています。

犬を膝に挟むように抱きかかえたり、トリミングテーブルの上に座らせた状態で、口を開け、口内のお手入れを済ませます。

この方法なら

・高齢の犬

・麻酔に危険性がある場合

・歯石除去処置を繰り返している場合

でも低リスクで処置を受けることが出来ます。

麻酔を施さないという事は、犬自身が自分の置かれている状況を理解している上に、歯の表面を削られるのですから違和感も覚えている状態という事です。

もちろん口内はとても皮膚が薄く、小さな傷でも大量出血に至ることもあります。無麻酔で処置を行うという事は高度な技術と十分な経験が必ず必要です。

依頼をする際は事前に愛犬を連れてゆき、無麻酔での処置が可能な性格か症状はどうか?をしっかりと確認してもらいましょう。

無麻酔を成功させるための日々の習慣

無麻酔という方法には実は賛否両論があります。

歯石除去にために全身麻酔を施すことの危険性は獣医師なら誰でも把握しています。しかしあえて全身麻酔を施すには、それなりの必然性があるからです。犬にとって口内は急所でもあります。

金属を差し込み、歯の表面を削るのですから違和感も痛みもあります。不意に動くこともあれば、噛みつく、暴れることがあっても当然です。

いつどのような危険があるかを予測できないからこそ、安全を確保するために麻酔を使用するのです。

歯垢や歯石を完全に取り除くには症状による差はあるものの、

・小型犬なら10分

・中、大型犬なら30分

ほどの時間がかかります。

外見からの判断と実際に処置を進めるうえでの判断には差が出ることもあり、想像以上に症状が悪化していることもあります。

器具で刺激したことで激しい痛みをもたらすこともあります。このような難しい処置を無事に終わらせ、歯を本来の清潔で健康な状態に戻すためには、犬自身の協力が不可欠です。

犬にスムーズに処置を受け入れてもらうには

・日ごろから口もとに触れられることに慣れている

・処置が終わるまでじっとしているべきという事を理解出来る

(トリミングテーブルでのあるべき姿を理解している)

・口の開閉に抵抗がない

という点が重要です。

そのためには家庭で定期的な歯磨き習慣をつけておくことが何より大切です。家庭で歯磨きの習慣がついていれば、犬自身も余計な警戒心や緊張を抱かずに済みます。

歯磨きが難しい場合でも、マッサージがてら口元に触れることを意識して続けていると、容易に口元に触れさせてくれるようになります。

麻酔という危険性をさけるためにもぜひ家庭での習慣づけを心がけておきましょう。家庭で定期的に歯磨きを行っている場合でも食べ物の添加物により歯垢や歯石は少なからず付着してしまうものです。

特に奥歯の溝などは歯ブラシが届きにくいエリアです。

無麻酔の処置は症状が悪化した場合だけでなく、家庭での歯磨きの仕上げ磨きと考え、トリミングの都度や動物病院を受診する都度、気軽に利用することもおすすめします。

口内トラブルには再発予防対策が重要

無麻酔処置は麻酔を用いる処置に比べ各段に危険性が下がります。

しかし決して犬にとって快適な処置ではありません。

出来ることなら、今回限りにして欲しいときっと思っているでしょう。

歯垢や歯石が原因で起こるトラブルは治療だけでなく予防にも重要な意味があります。専用の器具を利用し歯の表面から歯垢や歯石を取り除いても、数か月経つとまた同じ状況に陥ってしまったという声も多々あります。

中には処置を繰り返すたびに、そのサイクルが短くなっているというケースもあります。

スケラーを用いて歯垢や歯石を除去する方法は目に見える効果があるものの、実は歯垢や歯石だけでなく歯の表面にあるエナメル質までも削りとってしまうリスクもあります。エナメル質は歯を健康に保つバリアの役目を果たす成分です。

そこで、物理的な作用(爪やスケーラー、鉗子)が必要なものの、斥力(=反発力)を利用した手軽に、ご自宅で歯石が取れる画期的な商品も登場しているようです。

リペアン デンタルクリーナー

高度な処置を受けた後は、家庭でのお手入れをより念入りに行い、次の処置のタイミングを先延ばしにしてあげるよう心掛けましょう。

数か月、半年、一年と先送りにすることが出来れば、それだけストレスの軽減にもつながります。

習慣化することは難しいと感じることもありますが、市販の便利なアイテムを上手に活用しぜひ口内の健康管理に取り組みましょう。

投稿者プロフィール

YUKIYO OHTANI
YUKIYO OHTANI
ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。

この記事をシェアする